先輩の作品に見るコラージュ要素
東京黒百合会の先輩である故遠藤博氏は、切り絵なども得意とし、作品の作成にもコラージュの要素が伺える。
こんな逸話が残っている。
遠藤氏が世話役で、奥様たちのグループで風景スケッチをしている時、ある奥様がどうも一つ方向からの構図では、画面が寂しいと遠藤氏い相談したとか。そうすると、遠藤氏は、事もなげに奥様の反対にある要素を加えてみてくださいと言ったとか。奥様は、とんでもない事を言う人と思った顔をしていたとか。
故 遠藤 博氏の言葉
私は抽象も具象も本質的には同じものだと考えている。
なぜなら、絵というものは、さまざまな形や色を素材として、これを画面に組み立てる作業なのだから、その素材が自然界のものであろうと、頭の中のイメージからのものであろうと、組み立て作業のノーハウに区別はないからである。
要するに画面に美しい独自の世界が作り出せればいいわけで、その結果が自然界に近いものであっても、あるいは自然界に遠いイメージ的なものであっても、絵としての価値に何ら変わりはないと私は思っている。
・ある画家が「芸術は爆発だ」と言った。私は別の画家が言った「歌が聞こえるような絵」を描きたいと思う。
・すべての絵画作品は描写と遊びの二つの要素から成り立っているが、遊びが多いほど作者の個性がよく現れる。
・絵とは写すものではなく、作るものだということが分っていてもなかなか実行出来ないのが現状です。
・過去の偉大な天才たちの仕事ははるか雲の上の存在だが、私たち俗物もあきらめずに一歩づつ前進したいと思う。
そして、亡き先輩たちが残した遠藤氏への作品コメント
コメント 青木宏
作者はいくつかの表現スタイルを持つが、今回のデコラティブなスタイルはほとんど完成の域に達した感が強い。透明な空気と空間の表現という面で、最高傑作のひとつではないか。
コメント 加藤 文男
思いきった装飾的作品で色合いが美しい。遠藤さんが気にかけておられる不思議な現実感は出ている。
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